私の影は真夜中の闇。

50年と少し生きて来たけれど、そしてその半分くらいの年月絵を描いてきたけれど、どちらも安定した土台の上に立っている感覚は無きに等しい。喜びもつかの間、また、悲しみもつかの間。
明日がどちらから来るのか、私は今も知らないまま。
感覚は枯れながらも瑞々しさを蓄えようとする。
悲しい音楽が悲しくさせるのではなく経験が呼び覚まされ、そしてまた、楽しい音楽だけが胸の鼓動を高めるわけではないだろう。
不安定な気持ちの揺らぎが音楽達と戯れる。
幸せと悲しみは何故かいつも抱き合わせで訪れた。
そんな気がしていた。
そう、そんな気がするだけ。
老いては行くが、 
それはこれからも変わらず希望の未来という知らぬ世界へ歩んで行くという事だろうか。
相変わらず、私の影は真夜中の闇となり陽の当たらぬ心を話させる。